レイモンド・チャンドラー
「ぼくの名はフィリップ・マーロウ」とわたしはいった。「僕は顔に血がついてるのが好きなんだ。きみはこんな事件にまきぞえにされるのは迷惑にちがいない。ぼくはきみの名なんか、ひとことも出さないよ」 「わたしは孤児よ、一人きりで住んでいるの。そんなお心づかいはぜんぜん必要ないわ」と、彼女はいった。(「碧い玉2 お客をしくじる」より)
チャンドラーがフィリップ・マーロウを初登場させた「大いなる眠り」で長編デビューする前の、1930年代半ば頃の作品を3点集めた中編集。本書収録作を含めたこの時期の中編においては、主人公の探偵の名はジョン・マロリー、ジョン・ダルマス、カーマディなどとなっていたが、後日刊行された随想集で作者自身が「これらはみなマーロウの若き日を描いたもの」と述べているため、そうした趣旨での編集となっている。正直ストーリー展開は少々分かりづらく、かつご都合主義的。血なまぐさいアクションも多く、マーロウもまだまだ“若い”せいか、お得意の気の利いたセリフも出ない。
「事件はぼくがもちこんだんです」と、わたしはいった。「つまり、その一部をね。あとはひとりでに発展しちまったんです。イザベル・スネアという娘がサン・アンジェロの自宅をとびだしたきり行方がしれず、最近になって、彼女の飼い犬のすがたをここで見かけたものがいるんです。ぼくは犬を発見したんですが、その犬を連れていた連中が、ぼくの口を封じるために一騒動おこしましてね」(「犬が好きだった男 6」より)
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世界の名探偵コレクション10 フィリップ・マーロウ
レイモンド・チャンドラー
チャンドラーがフィリップ・マーロウを初登場させた「大いなる眠り」で長編デビューする前の、1930年代半ば頃の作品を3点集めた中編集。本書収録作を含めたこの時期の中編においては、主人公の探偵の名はジョン・マロリー、ジョン・ダルマス、カーマディなどとなっていたが、後日刊行された随想集で作者自身が「これらはみなマーロウの若き日を描いたもの」と述べているため、そうした趣旨での編集となっている。正直ストーリー展開は少々分かりづらく、かつご都合主義的。血なまぐさいアクションも多く、マーロウもまだまだ“若い”せいか、お得意の気の利いたセリフも出ない。
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