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仮想経験のデザイン

石井淳蔵・水越康介編

本章において、顕示的消費の理論を用いて検討してきたのは、ネット・コミュニティにおける仮想消費の創出や維持のために、消費されるモノの可視化の重要性である。しかも、その可視化されるモノのデザインが、ネット・コミュニティのコミュニケーションにも影響を与える。このことは、すなわち、今後のネット・コミュニティの可能性を左右するカギとして、デザインの質が問われることにほかならないのである。(第13章「仮想経験における顕示的消費」より)

「インターネットマーケティングの新地平」(副題)としての「ネット・コミュニティ」の可能性を論じた本。「mixi」を題材にしたありがちな研究ではなく、「愛情公寓」「HabboHotel」「Cyworld」等、「アバター」による直接的な仮想消費で成功している国内外の事例が中心となっている。
正直本書を読むまで、アバターを使ったコミュニティが国内外でこれ程普及し、莫大な収益を上げているとは知らなかった。仮想空間内での自分や他人の分身に対し、対価を払っておしゃれさせたりモノを贈ったり、(仮想の)部屋を飾る心理は理解し難いし、執筆者も「はために見ればおかしな光景」「おままごとの一種にしか見えない」と同様の感想を述べているが、実際にビジネスモデルとして急成長を遂げているのだ。
その成功要因は複数あるが、要はコミュニティの「可視化」による「顕示的消費」が「象徴的交換」につながる価値を生み出す中、「仮想経験のデザイン」はますます重要度を増すということ。Webのクリエイティブに携わる者としては首肯すべき結論である。

モノの価値は、それ自体に内在して存在しているのではなく、交換の過程で生み出されるということを意味している。とすれば、デジタル画像にすぎない衣服や家具が価値をもつのは、それ自体にどういう価値があるかという問題ではなく、それがコミュニティにおいて交換されているかどうかに依存しているということになる。アバター・サイトにおいては、もちろん、それらは交換の対象であろう。だからこそ、価値があるのである。(第14章「象徴的交換の論理からみる仮想経験」より)

[2007年3月28日] この日の感想・書評へ→

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