トップアスリート16人の身体論 佐々木正人
佐々木 接地を漏らさない? 朝原 地面を蹴るのではなく、押すのです。足首をがっちり固める感じで押す。実際に意識としてはほんとに蹴らないですよね。蹴ると絶対、脚が後ろにいってしまう。脚が地面に着いたところから脚を上にではなく、重心を前にやる感じです。地面に着いて重心をズルッと前にやる感じです。脚を着いたままで、です。(朝原宣治 100m陸上「100mを10秒台で走るとはどういうことか」より)
アスリートの身体を取り巻く地面、氷、水、空間などの「環境」にスポットを当て、一流選手だけが到達し得る境地に生態心理学の専門家が肉薄したユニークなスポーツ論。登場する顔ぶれも、女子レスリングの金メダリスト吉田沙保里をはじめ、16人の豪華メンバーが勢揃いだ。“オグシオ”がコート内の空間を20 分割して認識したり、“平成の三四郎”が背負い投げの瞬間相手の股下に「道」を見たり、シンクロと飛び板飛び込みの各水泳選手が、プールの水の硬軟、滑らかさの違いに応じて体の動きを変えてみたりetc.、常人の知覚範囲を超越した鋭敏な身体感覚の体験が、スムーズな対話の流れの中でさりげなく浮き彫りにされる。 そう言えば以前落合博満「超野球学2」の中で、相手投手の球の軌道を一枚の「風景」として記憶すべしとあるのを読み、独特の感性に驚かされた記憶があるが、どの世界でもトップレベルになると、世の中の見え方、感じ方が我々凡人とは違っているのだなあと本書で改めて思い知らされた。
佐々木 水面の上の空気の層はどうですか。 武田 選手生活の後半には空気が同じではないとわかりました。水面を出て空中に上がって落ちますよね。その落ちるときに空気をつかむ感じで、できるだけ止まる。空気を制する、コントロールする感じの意識です。上の空気には水面ほど粘りがないので、落ちていくときにどこをどういうふうに引っ掛けていくか、という感じです。(武田美保 シンクロナイズド・スイミング「水面の硬さは、演技によって障子紙にもシルクにもなる」より)
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時速250kmのシャトルが見える
トップアスリート16人の身体論
佐々木正人
アスリートの身体を取り巻く地面、氷、水、空間などの「環境」にスポットを当て、一流選手だけが到達し得る境地に生態心理学の専門家が肉薄したユニークなスポーツ論。登場する顔ぶれも、女子レスリングの金メダリスト吉田沙保里をはじめ、16人の豪華メンバーが勢揃いだ。“オグシオ”がコート内の空間を20 分割して認識したり、“平成の三四郎”が背負い投げの瞬間相手の股下に「道」を見たり、シンクロと飛び板飛び込みの各水泳選手が、プールの水の硬軟、滑らかさの違いに応じて体の動きを変えてみたりetc.、常人の知覚範囲を超越した鋭敏な身体感覚の体験が、スムーズな対話の流れの中でさりげなく浮き彫りにされる。
そう言えば以前落合博満「超野球学2」の中で、相手投手の球の軌道を一枚の「風景」として記憶すべしとあるのを読み、独特の感性に驚かされた記憶があるが、どの世界でもトップレベルになると、世の中の見え方、感じ方が我々凡人とは違っているのだなあと本書で改めて思い知らされた。
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