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12番目のカード

ジェフリー・ディーヴァー著/池田真紀子訳

人を五分の三の人間にするのは、政治家でも、ほかの市民でも、故障した体でもない。自分を完全な人間と見てそのように生きるか、不完全な人間と見てそのように生きるか、それを決めるのは、自分自身だ。(第V部「解放奴隷の秘密」より)

「魔術師」があまりに面白かったので、立て続けのリンカーン・ライムシリーズ第6弾。目的達成のためには手段を選ばない“無感覚”な冷血魔が今回の相手。そこに共犯と思しき不気味な黒人の影と、南北戦争にまつわる歴史的な謎の解明が絡み合う。最新の科学技術と並外れた観察力を駆使する主人公が、約140年前の歴史の謎をどう解き明かすかが今回の見せ場だが、殺人者に付け狙われる華奢で利発な黒人少女ジェニーヴァの存在が魅力的。また第一作から脇を固めているベテラン刑事ロン・セリットーの“内なる闘い”も、絶妙なスパイスとなって作品に彩りを添えている。
それにしても、シリーズ第6作に至ってなお読者の期待を裏切らない(それどころか読み手の想像を飛び越え続ける)手腕は見事。こうなれば現時点での最新作「ウォッチメイカー」も読まない訳にはいかない。

小さな勝利の積み重ね−−ドクター・シャーマンはそう言っていた。小さな勝利か・・・・・それしか望めない場合もあるだろう。忍び寄る睡魔に降伏する前、ライムの心をふとそんな考えがよぎった。
だが、ときには、それさえあれば足りる場合だってあるのだ。(第V部「解放奴隷の秘密」より)

[2009年7月19日] この日の感想・書評へ→

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