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超・殺人事件

推理作家の苦悩
東野圭吾

遠藤がぽつりと言った。「もう一つ、こないかな・・・・」
「えっ?」
「いや、何、つまりさ」誰に聞かれる心配もないにもかかわらず、遠藤は掌で口元を隠し、声を落としていった。「殺人事件がもう一つ起きないかなと思っただけだよ。しかも君の小説通りに」(「超予告小説殺人事件」より)

「白夜行」や「幻夜」「秘密」と同じ作家が書いたとは思えない、軽妙でユーモアたっぷりの連作集。但し一見お気楽に読める短編ばかりだが、全ての作品に何らかの形で“作中作”が盛り込まれており、どれを取っても一筋縄ではいかない技巧、企み、そして“毒”に満ちている。
例えば「超長編小説殺人事件」や「超理系殺人事件」は、巷の大長編ブームや理系小説ブームに対するアイロニーがモチーフであり、それは常々「作家たるもの、世の中に疑問や問題意識があるなら、生の声やエッセイではなく小説で表現すべきだ」と広言してきた、著者一流のプロ意識が基底となっている。深読みは野暮だが、込められた批評精神を素通りするのは勿体ない。

「単なる朗読マシンなんかをお勧めするために、わざわざお邪魔したりしません。ショヒョックスはですね、本を読んで、その内容を要約したり、感想を述べたり、書評を出力したりできるんです」
「えっ、まさか」
「と、お思いでしょうが、本当なんです。しかも読書に要する時間は、三百頁の本でも約十分で済みます」(「超読書機械殺人事件」より)

[2009年9月27日] この日の感想・書評へ→

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