
ぼくはこう生きている君はどうか
鶴見俊輔・重松清
鶴見 どんな子供でも家のなかでは世界一の有名人なんです。家のなかで無名な子供なんていない。そのかけがえのない財産を大切にすることに尽きるんじゃないかな。それが家庭・家族の持つ最大の意味だと思うね。「自殺しない」ということが最高の親孝行なんです。
重松 そう言う意味では、新しいことを考えるよりも、もう一回過去に立ち戻って忘れていた者を拾いなおさなきゃいけないのかもしれませんね。(第二章「家庭とは、どんな意味を持つ“場”か」より)
日本を代表する御年87歳の哲学者と、40歳年下の人気作家による異色対談。教育、家族、友情、老いといった普遍的なテーマを、本当に分かりやすい言葉のやりとりだけで論じ合っている。実はこれまで鶴見俊輔という人物の事を全く知らなかったが、本書とWikipediaによると相当やんちゃな少年時代を過ごした様で、その起伏に富んだ人生を背景に繰り出す含蓄ある言葉を、重松清が温かく平易な言葉で丁寧に打ち返している。
各テーマ毎に話がスムーズに展開している要因は、毎回この老哲学者が、対談のテーマと関連性の深い重松の作品(「その日の前に」etc.)を読んだ上で対話に臨んでいるため。米寿を控えた思想界の大御所でありながら、十分な備えの下で真摯に相手と向き合おうとする姿勢には凄みさえ感じる。
鶴見 「自分の小説は呼び水だ」というのはいいですねぇ。それは私の手法と通い合うところがあるんですよ。というのは、「自分はこういうふうに生きている」「きみはどうか」ー、それが私にとっての哲学なんです。日本の大学の哲学科はヨーロッパの哲学を受け継いでいるから、「たとえば」というふうなやり方で人類普遍の一般的な原理を探しあてようとするけれども。
重松 「自分はこう生きている」といえる人は、相手の生き方を認められる人ですよね。(第三章「エピソードのない友情は寂しい」より)


竹泉(兵庫)
特別純米無濾過生原酒
1800ml/2730円
「粋酔」新ラインナップ第6弾。但馬産の五百万石を60%磨いて、蔵付き酵母で醸した純米の無濾過生原酒。口に含むやふわっと豊かな米の風味が広がり、飲み進める毎に旨味が深まってくる。ボディの効いた濃醇さが特徴で、無濾過の生にしては全体にキリッと締まった中辛口。蔵元は朝来市にある田治米(たじめ)酒造。小さい蔵ながら三百年を超える歴史を持ち、当主は十九代目とのこと。
肴は秋刀魚の西京焼、烏賊の塩辛、卵黄の大蒜醤油漬。
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