
七人の龍馬
神坂次郎・澤田ふじ子・新宮正春・田岡典夫・津本陽・童門冬二・戸部新十郎
いきなり、竜馬は懐手にしていた右手をひきずりだすと、虚空をつきあげた。と同時に、凄じい炸裂音がした。頭の中で雷がはじけたような衝撃をくらって、檜垣はよろけた。檜垣は、一点の散り雲もない蒼穹が、にわかに無数の真青な破片となって降り落ちてくるような錯覚をおぼえた。炸裂音が、また、続いた。
「これが西洋の武器、能くみておけ」(神坂次郎「さんずん」より)
坂本龍馬を描いた七人七様の短編小説を集めたアンソロジー。“龍馬を斬った男”今井信郎の視点、寺田屋の女将お登勢の視点、共に暗殺された盟友中岡慎太郎の視点など、いろいろな角度から見た龍馬、全く異なるモチーフの作品がバランス良く選ばれている一冊。
個人的には龍馬の影を追い続けた揚げ句、龍馬の引き立て役としてしか歴史に名を残せなかった土佐の檜垣清治を描いた「さんずん」(神坂次郎)が一等賞。そして龍馬の姉乙女が愛する弟に会うため、相撲を挑んできた妖怪シバテンを負かすという異色のファンタジー「お仁王さまとシバテン」(田岡典夫)が二等賞、かな。
(おれが斬る……)
相手が龍馬と知ったときから、伸郎はそれなりに策を練った。
果たしてやれるかどうかはわからないが、なんとしてもそれを試したかった。
氷雨が、竹の子笠を叩いた。信郎の歯ががちがち鳴るのは、京の底冷えのせいばかりではなかった。(新宮正春「坂本龍馬の眉間」より)


五橋・無垢之酒(山口)
純米吟醸無濾過生原酒あらばしり
1800ml/3045円
日本名門酒会による毎年恒例の企画商品。小寒から立春までの時期に造られた純米吟醸のあらばしりを、無濾過無調整の生原酒で瓶詰めしたもの。今季は10蔵がラインナップされており、今回飲んだのは岩国の地酒「五橋」酒井酒造のもの。トラタン村産の山田錦を原料米に使用(55%精米)。9号酵母を使ったオーソドックスな純米吟醸で、豊かな米の風味を持ちながらもすっきり感があり、全体のバランスも良く後味も心地良い。
久々の「酒屋の酒場」にて。肴はほうれん草のお浸し、関鰺の刺身、鰻の肝焼、厚揚げ。
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