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千寿白拍子(静岡)

山廃純米
720ml/1260円

兵庫県産山田錦を100%使用し、蔵内の井戸より湧き出る名水・天竜川伏流地下水で醸した山廃仕込の純米酒。いかにも濃醇そうな琥珀色で、飲み口自体はまろやかで少し甘い口当たりだが、間もなくどっしりとしたコクと旨味が口の中に広がり、喉越しもズシッと力強い。熱めに燗を付けても味のバランスが崩れず、まろやかさがより引き立つイメージ。蔵元は磐田市の千寿酒造。明治35年の創業で、「千寿白拍子」の酒銘は源平の世に当代一の白拍子(舞姫)といわれた千寿が、地元に残した悲しい恋物語に由来する。
肴は1日目が鮪の刺身と蛍烏賊、2日目が豚しゃぶ。

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三銃士

アレクサンドル・デュマ著/生島遼一訳

「アトス!ボルトス!アラミス!」
さっき、我々の話に出て来た、この後の二つの名前をもった二人の銃士がただちにその中にいた人だかりを離れて、この居間の方に歩いて来た。二人が閾をまたぐと、すぐ扉はしめられた。入って来た二人の、全然落ちつきはらったとはいえないまでも、鷹揚で同時に服従の気持を見せた悠々迫らない態度はダルタニャンになかなか立派に見えた。(三「初の謁見」より)

古典らしからぬ面白さ、と噂に聞いていたので前々から気になっていた。予備知識がなく、「三銃士」という題名から勝手に「三国志」の劉備・関羽・張飛のような、無骨な武人達を描いた戦記活劇かと思っていたが、かなり趣が違った。「忠」と「義」に命を懸けるのが「三国志」なら、「三銃士」(実際は四銃士…) が命を懸けるのは「恋」と「友情」と「意地」。その軽さと洒脱さが何ともフランス文学っぽい。
そして完全に主役の銃士達を喰い、圧倒的な存在感で物語後半をぐいぐい引っ張るのが、敵役の美しき悪女ミレディ。類い稀な美貌と悪知恵を武器に主人公達を翻弄し、対等以上に渡り合う様が何とも蠱惑的であっただけに、結末が少々残念。峰不二子のようにしぶとく生き残り、物語に含みを持たせて欲しかった。

「なあに心配するな。神は偉大だ。マホメット教の信者が言うようにな。未来のことはまったく神の手の中にあるんだから」
そう言ってひと息に杯を干し、アトスは無造作に立ち上がった。それから手近の銃をとって銃眼の傍に行った。
ボルトス、アラミス、ダルタニャンもそのとおりにする。グリモーは後にさがって弾丸ごめする役を言い渡された。
一瞬後に、敵の姿が見えた。(四七「銃士の密談」より)

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