開国ニッポン
清水義範
家光は、元和九年(一六二三)に出されたポルトガル人の居住制限、ポルトガル人航海士雇用の禁止、日本人のマニラ渡航を禁じた法を廃止した。どこの国の者であろうが、交易を目的として来日すること構わぬ、というこれまでとは百八十度違う方針を打ち出したのだ。
これが、幕府開国、という方針である。(第二章「切支丹冥加金」より)
「開国ニッポン」という書名から、てっきり明治維新を背景にした娯楽小説だろうと思って読み始めたが、さすがに曲者・清水義範。何と史実上では鎖国を始めたはずの三代将軍家光に、「開国」をさせたのである。
さーてその結果何が起こったか。“鎖国しなかった”徳川幕府は諸国との交易を振興させ、江戸は世界最大の都市として繁栄することになる。そして由井正雪や浅野内匠頭をはじめ歴史上の人物はビミョーに生き方を変え、明治維新も薩長vs.幕府の基本構造は変わらないものの、ペリーが勝塾で講義をしたり、ワイアット・アープが池田屋で新選組を撃退したり、龍馬が渡米してリンカーンと会談したりと、作者の筆は奇想天外、自由気儘に暴れ回る。史実を知っている人程楽しめる、良くできた歴史パロディ。
「おれは、ワイアット・アープだよ」
この時、ワイアット・アープは十六歳。
アープが青年ながら驚くべき早撃ちの腕前を持っていることに目をつけ、ペリーが日本の勝のところへ送り込んだのである。勝が龍馬に紹介し、龍馬は、おれより護衛の必要な人間がおるきに、と北添に貸したのだ。この夜の池田屋に、そのせいでワイアット・アープがいた。(第八章「幕府瓦解」より)


月山(島根)
芳醇辛口純米
720ml/1135円
濃紺の紙に「月山」と金で箔押しされた渋いラベルに惹かれ、北千住「食遊館」にて購入。開けたばかりの時は少々堅い印象があったが、一日置くと少しふわっと開いた感じで、芳醇辛口の名の通りグンと旨味と膨らみが増した。米は五百万石と神の舞を70%磨いたもの。
蔵元の吉田酒造は文政九年(1826)の創業。戦国期の尼子氏の居城「月山富田城」が築かれていた月山の麓に蔵がある事から命名されたという。肴は鮃のえんがわ、蛍烏賊酢味噌。
トラックバック(0)