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鳥海山(秋田)

純米吟醸
1800ml/2625円

顧客との打合せが早く終わったので、またも夕暮れ時から千住「酒屋の酒場」へ。カウンターに座るや否や間髪入れずに注がれたのが、ブルーの瓶とラベルがいかにも涼しげで夏向きの「鳥海山」純米吟醸。でかでかと「爽快辛口」と書かれている。ほんのりと吟醸香漂う、口当たりのさっぱりとした軽快かつ爽やかな辛口タイプ。これなら夏の盛りでも、「とりあえず」のビール抜きでいきなり酒から始められる。
肴はもやしナムルと鮑の造り。この肝付き鮑、他店なら軽く千円は取られたろうなぁ。その後は「陸奥八仙」の純米吟醸無濾過と「鳩正宗」の純米吟醸を飲みながら小鯛酢と鰹の粕焼。

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近頃読んだ本近頃読んだ本

卒業・眠りの森

東野圭吾

「回答は出すわ」
沙都子が言った。「卒業までには必ず」
「卒業まで……か」
加賀はため息をついた。「まるで何かいいことでもあるみたいに思っているんだな。卒業したら過去が消えるとでも考えているのかい?」(「卒業」第四章7より)

先頃TVドラマ化された「新参者」が話題になったが、阿部寛が演じた主人公・加賀恭一郎が、まだ大学4年生の設定で初めて世に登場したのが第1弾の「卒業」。そして数年後に刑事として登場するのが第2弾「眠りの森」である。
普通の推理物だと、卓越した推理力や直感力、真相に迫る並外れたしつこさ、凶悪犯と渡り合う度胸や腕力、あるいは神業的拳銃扱いの巧さといった超人的能力を主人公に持たせるケースが多い。だが加賀恭一郎に関しては、観察力と論理的思考に優れた極めて優秀な刑事(「卒業」では大学生)ではあるが、読み手にカタルシスを感じさせる程ではない。全日本選手権を制した程の剣道の達人ではあるものの、事件の本筋であまり役立つこともない。秘めた情熱は感じさせるが、言動はどことなく冷めていて、優等生的だ。
そのため、「卒業」では主人公への感情移入がしづらく、殺人のトリックも図解が必要な程凝りすぎて「・・・・・」といった感じだったが、続けて「眠りの森」を読み進めていくうちに、超人でない分、血の通った人間としてのリアリティを加賀に感じ始めてきた。余韻の残るラストも印象的だし。
とりあえずは「新参者」まで付き合ってみよう。

「加賀さん…あたし、加賀さんの声を忘れません」
声が詰まった。その彼女の体を引きよせ、加賀は囁いた。
「大丈夫。耳のこともきっと何とかしてみせる」
彼はフロリナ姫の顔のままの未緒に、静かに口づけした。何かの目覚めを感じさせるような口づけだった。
「君が好きだから」
加賀は未緒の身体を強く抱きしめた。(「眠りの森」第四章8より)

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