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鷹勇(鳥取)

濁り酒純米山田錦瓶燗
720ml/1050円

山田錦100%(精米歩合70%)、協会9号酵母を使って醸し、瓶詰めした後で火入れをした瓶燗の濁り酒である。濃厚な口当たりの辛口(+4)ではあるが、舌で探るとほのかな甘味が隠れている。
蔵元は明治5年創業の大谷酒造。仕込み水は蔵から程近い倉坂で大山の伏流水を汲み上げ使用している。酒名「鷹勇」は愛鳥家だった初代当主が、大空を舞う鷹の勇姿に魅せられて名付けたとのこと。杜氏を務める坂本俊は平田市出身の出雲杜氏。平成10年「現代の名工」に選ばれ、平成14年には黄綬褒章を受章している。

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立ち呑みの流儀

伊藤博道

立ち呑みには、断じて一人で行くことを基本とする。それも身軽にあたかも風のようにヒラリと入るべし。初めてはいるバアのようなためらいは要らない。「今日の憂さを晴らそう」だの「人生の奥義を知ろう」という目的で入るとどうしても表情が固くなる。喉が渇いたから水を飲むように、「酒が渇いたから、酒を飲む」。間違ってもヒトとの出逢いを求めて行く所では無い。(「立ち呑みへの入り方」より)

出張で東京に出向いていた頃は、毎度宿泊先を変えては新しい立ち呑み店を開拓したものだが、東京に腰を落ち着けてからというもの、何となく同じ店ばかりに通うようになった。そうなると必然的に顔なじみができて、他愛もない会話を交わすようになる。すると、いつしか話の輪の中に別の客が入り、少しずつ見知った顔が増えてくる。ごく稀に妙齢の女性が側に立って話に絡んでくれたりすると、ついつい上機嫌で酒が進み、会話も弾む。そうなると酒を飲むことよりも、自分の居場所がそこにあること自体が心地よくなり、ますます頻繁に足が向くようになる…。
立ち呑みじゃなければ、互いが打ち解け合うまでに何倍(=何杯)もの時間と酒を要したことだろう。渇いた都会のささやかなオアシスに乾杯。

馴染みの立ち呑みでホロリと飲んでいる時ほど気の休まる時間はない。入れ替わり立ち代わりの人間模様を肴に飲む楽しさは格別。馴染み客に混じって、羽振りのよさそうな二、三人の背広男等。なんとなく他人の家に土足で踏み込むような手合い。あたりかまわず、自分たちだけの空間を作っている。人生の奥義、はたまた人生の悲哀といった内容でなく、取るに足らぬ仕事のざれごと。まるで会社の上下関係をそのまま持ち込んだか。話の割には酒も肴もちょぼちょぼ。(「『こんな店で悪かったな』の客とは」より)

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