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最近飲んだ酒最近飲んだ酒

南方(和歌山)

特別純米無濾過生原酒
1800ml/2625円

再訪した新橋・名酒センターに、同じ造りで仕込米だけを変えた(オオセトと美山錦・どちらも精米55%)「南方」の特別純米無濾過生原酒が2種置いてあったので、グラスを並べて飲み比べをさせてもらった。
どちらも芳醇な米の香りと旨味がたっぷりと感じさせながらも、生原酒の割には口当たりは軽快で舌触りも滑らか、後味・切れ味も良い。個人的にはオオセト仕込の方が僅かに旨味が立っている様に思えたが、別の日に飲んだら異なる印象を持つかも知れない。肴は豆腐の燻製。

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近頃読んだ本近頃読んだ本

沙高樓綺譚

浅田次郎

「沙高樓にようこそ。今宵もみなさまがご自分の名誉のために、また、ひとつしかないお命のために、あるいは世界の平和と秩序のためにけっして口になさることのできなかった貴重なご経験を、心ゆくまでお話し下さいまし。いつもどおり、前もってお断りしておきます—お話しになられる方は、誇張や飾りを申されますな。お聞きになった方は、夢に他言なさいますな。あるべきようを語り、巌のように胸に蔵うことが、この会合の掟なのです—」(「小鍛冶」より)

東京都内の、とある高層マンションの最上階。謎めいた女装の主人が主宰する秘密クラブ「沙高糧」に、各界で成功を収めた人々が集い、互いに誰にも話せない秘密の話を嘘偽りなく打ち明け合う…という設定の連作短編集。いわば現代の「百物語」である。各短編では日本刀の鑑定人、精神科医、映画カメラマン、庭師、ヤクザの大親分が語り手として登場。それぞれの話の中から浮かび上がってくる人間の怖さ、哀しさ、切なさ、心に潜む深い闇が読み手の胸に染み入ってくる。
またそれぞれの「語り」の面白さもさることながら、本作の巧さは全編に一本の芯を通すべく、たまたま沙高樓に招かれた一人の男の視点で話を展開した所にある。彼が感じる戸惑い、疑問は読み手のそれと等価であり、まるで自分もその現実離れした空間で、聴衆と共に話を聞いているような臨場感を与えてくれる。毎度のことながら、著者の引き出しの多さと職人芸の巧みさに感服させられた一冊。

「相手に不足はないはずやで。新選組局長近藤勇—」
えっ、と叫んで新兵衛は顔を上げた。自分の役回りの重要さをとっさに理解したのだろう、青黒いドーランを塗った顔はみるみる闘志に満ちた。
「拙者、身分こそ武士とは名ばかりの軽輩ではござるが、腕には多少覚えがあり申す。近藤勇と聞けばまこと相手にとって不足はござらぬ。尋常の立ち合いとあらば、必ずや打ち果たしてごらんに入れましょうぞ」(「立花新兵衛只今罷越候)

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